溶接歪み防止治具とは?重要性や変形を防ぐ方法を解説

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溶接歪み防止治具の重要性と注意点

溶接の際に生じる歪みは、専用の治具を用いることで抑えられます。

接合時に発生した変形は製品の品質に直結するため、適切な形状の治具を設計し、母材を確実に固定することが非常に重要です。例えば、二枚の平板を突き合わせて直線状に溶接する場合、専用の治具を用いることで溶接の熱による変形を抑えられます。
溶接による歪みを防止する治具の役割や注意点などを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

安久工機では、溶接歪みを抑えるために役立つ治具の製作を承っています。精密な設計が求められる治具が必要な事業者様は、ぜひご相談ください。

溶接歪み防止治具の役割

溶接歪み防止治具は、溶接時の熱による歪み、強く固定しすぎることによる歪み、母材の材料の特性による歪みなどによる変形を防止する役割を持ちます。

母材となる金属の多くは、局所的に加熱・冷却されると変形する性質を持ちます。対策を施さずに溶接すると、反りやねじれなどの歪みが生じることも少なくありません。しかし、治具を使用することで、さまざまな要因による歪みを防ぎ、製品の精度を向上させられます。
溶接加工の際は高温にさらされるため、熱の影響を受けにくいSUS304などの素材で治具を製作することが推奨されます。

溶接歪みを防ぐための治具の注意点

溶接歪みを防止するための治具を使用する際の注意点として、過度な固定による割れのリスクが挙げられます。母材を強い力で固定すると、溶接時の熱などによる膨張や収縮に対応できず、接合部に割れが生じる可能性があります。治具を使用する際は、接合部以外の適切な箇所に動きを許容し、締め付けすぎないよう注意が必要です。

また、複雑な接合部を固定する場合、既製の治具では対応できないため、専用の特注治具が必要になることがあります。しかし、特注治具の製作には高いコストがかかることもあるため、製品の製造規模に応じて、費用対効果を考慮することが重要です。

溶接歪みとは?原因と歪みを抑える方法

溶接歪みとは、溶接に伴い母材が変形する現象を指します。 加工後に母材が変形すると、製品の外観が損なわれたり、設計どおりの精度が確保できなかったりする場合があります。

また、構造部材として使用する場合は、変形が耐荷重に影響を及ぼすことがあるため、適切な対策が必要です。

以下では、溶接歪みが発生する原因と防止する方法について詳しく解説します。 どのようなメカニズムで歪みが生じ、防止できるのかを理解し、治具導入の参考にしてみてください。

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溶接歪みの原因

溶接歪みは、温度変化による膨張・収縮のほか、母材の固定方法などの影響を受けて発生します。

金属は加熱すると膨張し、冷却すると収縮する性質を持ちます。金属全体を均一に加熱すれば膨張も均一になりますが、溶接のように局所的に温度が上昇すると、高温になった部分だけが膨張し、冷却時に特定の箇所が収縮して変形することが多いです。

さらに、母材の固定力も溶接歪みに大きく影響します。 溶接時に母材をきちんと固定できていないと、膨張、収縮に伴い大きな歪みが発生することがあります。固定力が強すぎても、拘束を解いた際に急激な歪みが生じるため、治具を使用する際も注意が必要です。

溶接歪みを防ぐ方法

溶接歪みの防止には、治具の使用だけでなく、以下のような方法もあります。

  • 歪みを想定した製品設計をおこなう
  • 加工後に叩いたり別の場所を加熱したりして矯正する
  • 溶接の順番を工夫する
  • 銅板などの熱伝導性の高い素材を下に置く

歪みを発生させずに溶接することは容易ではありません。そのため、最初から変形を予想して設計、加工したり、別の方法で矯正したりして、形状を調整する方法があります。

ただし、これらの方法は精度が高い一方で、高度な技術や手間を要するため、取り入れるには慎重な検討が必要です。
効率的に精度の高い製品を製作したい場合には、治具の使用がおすすめです。

溶接歪み防止治具を使った効果的な固定方法

溶接歪み防止治具を使った効果的な固定方法には、以下のようなものがあります。

  • 母材を適切に固定する
  • 複数の治具を使用する
  • 製品に適した特注治具を用意する

最も一般的な方法は、母材を適切に固定することです。クランプやボルト、ナットを用いて母材を固定します。適切に固定することで、作業員の技術や経験に左右されず加工精度を高めることが可能です。

溶接による変形を抑えるため、複数の治具を併用することがあります。クランプで母材を固定しつつ、ジャッキなどを使って歪みが発生する方向とは逆側にわずかに力を加えることで、最終的な形状を狙いどおりに調整する方法などがあります。
曲面のような複雑形状の製品には、特注治具の用意が必要です。溶接したい製品の形状に適した特注治具を設計することで、母材をしっかりと固定できます。

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溶接歪み防止治具の製作は安久工機にご相談ください

溶接時には、熱などによる母材の歪みに注意する必要があります。設計どおりの仕上がり、高精度の仕上がりを目指すなら、治具の使用が効果的です。

安久工機では、金属の溶接時の歪みを抑える治具の製作依頼を承っています。医工学分野など、高精度の製品が求められる分野で、これまでに50年以上、10,000件を超える製作実績があります。
独自のネットワークで最適なチームを形成し、お客様の問題解決に一丸となって挑める体制が整っているのも、弊社の強みです。
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