引っ掛け治具はめっき処理に重要!種類や製作依頼のポイントを解説

引っ掛け治具とは?めっき処理における必要性

引っ掛け治具とは、製品を固定し、おもにめっき処理をおこなうためのツールです。

引っ掛け治具で製品を確実に固定すれば、めっきの品質の安定化につながるでしょう。設計次第では一つのツールで複数の製品も固定できることもあり、作業効率の向上にも効果的です。

また、めっき液に触れることもある引っ掛け治具は、高い耐薬品性が求められます。めっき液を取り除き繰り返し長期間使えるよう、メンテナンス性の高い素材、処理、設計であることも大切です。

以下では、引っ掛け治具の役割や求められる内容について詳しく解説します。引っ掛け治具の購入や製作依頼を検討している事業者様は、ぜひ参考にしてみてください。

対象物を固定してめっき不良やムラを防ぐ

引っ掛け治具のおもな役割は、処理対象物を確実に固定することです。フックや棒などで製品を引っ掛けたり挟み込んだりすることで、めっき処理中に対象物が動かないようにします。

めっき処理は、対象物を薬品の入っためっき液に浸け、電気を流す電解めっきや還元剤を使う無電解めっきでおこなわれます。めっき液の流れや反応が均一でないと、膜厚にムラが生じます。均一にめっきするには、対象物が目標とする場所に正確に設置され、動かないことが重要です。

引っ掛け治具は対象物を正しく固定し、膜厚や仕上がりのばらつきを抑え、めっきの品質を均一化するのに役立っています。

耐薬品性やメンテナンス性の高さが求められる

引っ掛け治具は、処理中にめっき液と接触するため、耐薬品性やメンテナンス性の高さが求められます。

めっき液に使用される薬品は、酸性やアルカリ性、有機溶剤などさまざまです。耐薬品性の低い材質で作られた引っ掛け治具は、すぐに腐食が進行し、破損する恐れがあります。長期間にわたりめっき処理に使用するためには、使用するめっき液への耐性の高い材質で作られたものを選ぶことが大切です。

耐薬品性の高い材質で製作することで、メンテナンス頻度も下げられます。治具が腐食すると電流の流れ方が変化するので、めっきの膜厚に変化が生じ、品質が安定しません。そのため、頻繁に汚れや錆を取り除くことが必要です。手入れのしやすい設計、構造のツールを選ぶなど、メンテナンス性を重視することも大切です。

引っ掛け治具の種類をめっき対象別に解説

引っ掛け治具にはさまざまな種類がありますが、ここではめっき対象物の形状に応じて異なる引っ掛け治具の種類について解説します。

たとえば、板状やプレス製品、筒形状などの製品が存在し、それぞれに最適なツールの設計が必要です。複雑な形状の対象物にめっき処理をする際は、市販の引っ掛け治具ではなく特注で製作したツールを用いることもあります。それぞれの製品形状に適した治具を使用すれば、めっきの品質安定化や生産効率の向上が図れるでしょう。

以下では、代表的な製品形状ごとに必要な引っ掛け治具の特徴や設計のポイントを詳しく解説します。

板状やプレス製品のめっき処理に必要な引っ掛け治具

板状やプレスされた薄い形状の製品には、上下をしっかりと挟み込むタイプの引っ掛け治具が使用されることが多いです。上下で挟み込むことで、処理中に製品が動いたり落下したりすることを防げます。引っ掛けるだけよりも固定力が高いことも特徴です。

ただし、治具との接触部分は、めっき液と接触しないため成膜されません。無めっきでも品質上問題ない部分で挟み込むように設計する必要があります。薄い製品は変形しやすいため、挟み込む際の力加減にも気をつけましょう。

筒形状の製品のめっき処理に必要な引っ掛け治具

筒や円筒、円形の製品のめっきの際は、製品内部に治具を差し込んだり、外周部を何点かで支えたりするツールが使用されることが多いです。

とくに筒状の製品へ電解めっきをする場合、筒内部に空気が溜まらないように注意が必要です。空気が残っている部分はめっき液に接触せず、化学反応が起きないため皮膜が形成されません。筒内部や凹み部が浴槽の下に向かないような構造に設計し、めっき処理中に空気が抜けるようにしましょう。

大きな製品の処理では、治具と製品との接点を増やすことも大切です。とくに電解めっきでは、電流が治具と製品との接点に集中しやすく、接点から離れるほど小さくなる傾向があります。製品を均一に処理するためには接点の数を増やし、流れる電流が均一になるよう配慮しましょう。

複雑な形状の製品のめっき処理に必要な引っ掛け治具

曲線状や穴がある製品、段差がある製品などには、それぞれの形状にあわせて引っ掛け治具の設計をカスタマイズする必要があります。

曲線状の製品にめっき処理すると、凸部の膜厚が大きくなったり、凹部に空気が溜まってめっき液と接触せず、成膜が不十分になったりする恐れがあります。製品全体をめっきで均一に成膜するためには、凹凸部の配置や治具の取り付け方を工夫し、めっきが厚くならないようにしたり、空気溜まりを回避したりすることが大切です。

製品に穴がある場合は、穴に通せるピンや棒を治具に設けるといいでしょう。段差のある製品には、凹凸にあわせて接点を設置し、支持する種類もあります。

複雑な形状の製品にめっき処理する際は、製品全体をしっかりと固定しつつ、めっき液や電流が均一に行き渡るように工夫することがポイントです。

複雑な形状の製品へのめっきには、特注の治具が必要になることも少なくありません。
安久工機では、めっき処理に使われる引っ掛け治具の特注製作を受け付けております。治具製作の知識が豊富なプロ集団が、設計の段階から治具製作をサポートいたします。

めっき用の引っ掛け治具を特注する際の確認ポイント

めっき用の引っ掛け治具を特注で製作する際は、以下のポイントを事前に確認し、製作会社に正確に伝えることが大切です。

  • 使用環境とめっき方法
  • 対象製品の仕様
  • 治具の仕様
  • 必要数量と納期

治具が使用される処理ラインや設備、めっきの種類(電解めっき・無電解めっきなど)を明確にしましょう。治具の形状や固定方法を考えていくうえで、対象製品の形状や材質、大きさ、重量、膜厚の指定などの情報も必要です。

また、可能であれば希望する材質、寸法、表面処理の有無、耐薬品性、耐熱性など、治具自体の仕様も決めておくといいでしょう。

余裕を持って依頼、相談ができるように、ロット数や生産計画に応じた必要数量や納期の希望を伝えることで、製作会社とのやり取りもスムーズになります。

製作会社との事前の打ち合わせを十分におこない、使用目的や要件に合った治具をオーダーすることで、安定した品質のめっきを実現できるでしょう。

引っ掛け 治具 作業の様子

めっき加工に重要な引っ掛け治具の特注は安久工機へ

引っ掛け治具は、めっき加工をする際などに役立つツールです。対象物を正確に固定することで、作業効率のアップやめっき処理の品質の安定を目指せます。
対象物の形状などに応じたさまざまな種類の引っ掛けが登場していますが、特殊な形状の製品に使用する際は、特注の治具を製作する必要もあります。

安久工機では、めっき加工に用いられる引っ掛け治具の特注製作が可能です。治具の製作実績が豊富なプロが、治具の利用シーンや対象物の形状、ご希望の数量や納期などにあわせて製作を進め、高精度な治具を納品いたします。
市販のツールでは対応しきれない、設計図が書けるスタッフが社内にいないなど、治具製作に関するお悩みは、ぜひ以下のフォームよりご相談ください。

【お問い合わせ先】
電話番号:03-3758-3727
FAX:03-3756-1250
お問い合わせフォーム