
プレス機用治具の主な種類
プレス機用治具は、プレス加工において作業精度、効率、安全性の向上を実現するための補助ツールです。さまざまな種類がありますが、本記事では主に以下の3種類について解説します。
- 位置決め治具:ワークの正確な位置決めを行う
- クランプ治具:ワークを確実に固定する
- 成形加工用治具:特定の成形や加工を支援する
それぞれのタイプは異なる役割を持っています。また、ツールの選定や設計は、製品の品質だけでなく、作業者の安全性や生産性にも大きく影響を与えます。
プレス機での加工工程や要求される精度、作業環境などに応じて、適切な治具を選択・組み合わせることが大切です。
プレス機用治具の種類①位置決め治具
位置決め治具は、ワークを正確な位置に配置し、プレス加工中の位置ズレや仕上がりのバラツキを抑制するためのツールです。治具上に壁やピン、溝などの基準を設けることで、ワークを同じ位置に繰り返し設置できます。加工ごとの位置のバラツキを抑制できるため、プレス加工の精度を確保できる点がメリットです。
位置決め方法には、基準面で調整するものやピン式・V溝式などの種類があり、ワークの形状や加工内容に応じて適切なタイプは異なります。直方体のような形状のワークは、基準面での位置調整が適しています。円筒形状のワークには、ピン式やV溝式などが適しているでしょう。
自社の製品・加工内容に合った種類を選び、作業効率と加工精度を高めていきましょう。
プレス機用治具の種類②クランプ治具
クランプ治具は、プレス機で加工する際にワークが移動したり浮き上がったりしないよう、固定する役割を担うツールです。プレス機での加工はワークに大きな力を加えるため、位置ズレが生じやすく、加工時にワークを強固に固定する必要があります。
クランプ治具には、ワークを外側から締め付けるタイプや、場合によって内側から押し広げて固定するタイプなどがあります。円筒形状のワークには、小さな円形状のクランプを筒に挿し込み、内側から広げるクランプが使用されるのが一般的です。複雑な形状のワークは、標準的なクランプだけでは固定が難しいため、ワーク形状に合わせた特注のツールが必要になることもあります。
ワークの形状や材質、加工内容に応じて、適切なタイプを選びましょう。
プレス機用治具の種類③成形加工用治具
成形加工用治具は、プレス機による加工でワークを狙い通りの形に整える作業をサポートするツールです。仕上がりの形状や加工の品質を安定させるとともに、作業できる範囲を拡大したり、作業自体を効率化したりといった点でも役立っています。
具体例として、プレス加工後のワークを一定の形に成形できるようにするもの、ワークに対して特定の形状への打ち抜き加工を正確に行えるようにするものなどがあります。また、ワークへの圧入作業と圧入検査を同時に行えるツールも存在し、作業効率の向上を期待することも可能です。
プレス機用治具の重要性
プレス機用治具は、プレス加工の品質や作業効率の向上に対して重要な役割を担っています。
治具を正しく活用すれば、作業者の技術や経験に左右されず安定した加工ができ、不良品の発生率を減らすことが可能です。また、ワークの位置決めや固定作業を安定して行えるため、作業時間の短縮や生産性の向上にもつながるでしょう。
プレス機用治具の導入は品質や生産性だけでなく、安全面でも大きな役割を果たしています。プレス機での加工時に、人が無理な作業や危険な作業をする工程を減らせるため、作業者の安全性も確保されます。
治具の導入は初期コストがかかる一方、品質・生産性・安全性の観点から、長期的にはメリットが大きいといえるでしょう。
安久工機は、10,000件を超える実績をもとに、治具製作を設計段階からお受けしております。プレス機用治具の製作は、構想設計・基本設計から加工・調達、さらに組立調整までワンストップで対応可能な安久工機へご相談ください。
プレス機用治具の設計時の注意点
プレス機用治具の設計時には、以下のポイントを考慮することが大切です。
- 脱着・段取りのしやすさ
- 強度と耐久性
プレス機用治具には、ワークの固定や位置決めといった機能性だけでなく、作業のしやすさや耐久性も求められます。使用環境や加工条件に適した強度の材料を選ぶとともに、作業しやすい構造に設計しましょう。作業のしやすさ、耐久性の高さは、安全性やコスト面の改善にもつながります。
ここではそれぞれのポイントについて詳しく解説するので、プレス機用治具の導入を検討している事業者様は設計の参考にしてみてください。
脱着・段取りのしやすさを考慮する
脱着や段取りのしやすさは、プレス機による加工の生産性の向上、作業者の安全性の確保を考えるうえで重要な要素です。複雑な取り付け手順や大型・重量のあるツール、部品点数の多いツールなどは、段取りに時間がかかったり、作業ミスが増えたりする原因となりかねません。
そのため、プレス機用治具の設計では誰でも扱いやすく、迅速かつ正確にワークを設置できる構造にすることが大切です。
たとえば、取り付けや交換が簡単な形状にしたり、軽量化や持ちやすい形状にしたりすることで、作業者の負担を軽減できます。交換頻度が多い場合は、交換作業の自動化・半自動化も検討して設計してみましょう。
強度と耐久性を十分に持たせる
プレス機用治具は、加工時に繰り返し加わる強い荷重や衝撃に長期間耐える必要があるため、十分な強度と耐久性が求められます。破損、摩耗したツールを使い続けると、製品の品質の低下や大きな事故につながる恐れもあります。治具は、想定される荷重に対して十分な余裕を持たせ、短期間で破損しないように設計することが大切です。
強度や耐久性を高める方法として、材料の選定や断面の形状を工夫したり、荷重が集中しやすい部位を補強したりする対策などがあります。
プレス機用治具は何度も使ううちに摩耗していくため、対策として摩耗が予想される接触面に硬化処理や硬質コーティングを施すことも大切です。
長期間にわたり安定した品質の製品を製造するためにも、強度・耐久性に対する対策はしっかりと行いましょう。

プレス機用治具の製作は安久工機にお任せください
プレス加工を行う際は、ワークの正確な位置決めや固定、成形などをサポートするツールが用いられます。プレス機用の治具は、作業の効率化やコストカット、現場の安全性の向上に役立ちます。
加工の内容やワークの形状、材質などによっては、オーダーメイドのツールが必要になることもあるでしょう。その場合は、治具の製作実績が豊富な業者に相談し、より現場で使いやすく、安全性や作業効率を高められる治具を製作してもらいましょう。
安久工機は、プレス機用治具の特注製作が可能です。特殊なプレス加工や複雑な形状のワークの加工などでオーダーメイドの治具の導入を検討している事業者様は、安久工機へお問い合わせください。
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