
オイルシール挿入治具を特注する方法
オイルシール挿入治具は、オイルシールの挿入の際、正確性を高めるために用いられるツールです。わずかなズレがオイル漏れや異物混入などにつながるため、サイズや形状によっては市販のツールでは精度の高い作業ができず、特注の治具が必要になることもあります。
オイルシール挿入治具を特注する際は、以下の手順に沿って進めるのが一般的です。
- オイルシールの寸法・形状・材質・圧入力などの条件を整理する
- 仕様を明確にして設計・製作を依頼できる業者ぶ
- 業者と要件をすり合わせ、納期や金額などを確認して契約する
- 必要であれば試作やサンプルの評価を経て本製作に移る
- 現場で必要な調整したうえで、最終的に作業工程に組み込む
これらのステップを丁寧に踏むことで、安定した品質と作業効率を両立できるオイルシール挿入治具を導入できるでしょう。
オイルシール挿入治具設計時のポイント
オイルシール挿入治具の設計を行う際には、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
まず、オイルシールの挿入の精度を確保するために、シール位置がズレないような構造にすることが大切です。
次に、偏荷重を避けるため、均等に荷重がかかるようにすることも欠かせません。これによりシールの破損リスクを減らせて、安定した挿入が可能になります。
さらに、現場での作業効率を考慮し、治具の着脱性や清掃・交換のしやすさといったメンテナンス性も取り入れることが大切です。
オイルシールと挿入治具は密接に関係しており、設計段階での工夫が最終的な製品の品質を左右します。さまざまな観点から設計を進めることで
現場でのトラブルを防ぎ、長期的な作業の安定化につなげられるでしょう。
オイルシールの挿入精度を確保する構造にする
オイルシールを正確に装着するためには、挿入治具の構造が非常に重要です。
手作業でオイルシールを組み込む際は、誰が作業をしてもシールや部品を傷つけずに挿入できるよう設計する必要があります。シールの内環の外周径よりも大きめのサイズで作れば、ハウジング穴にしっかり押し込めるようになり、変形やオイル漏れなどを防ぐことが可能です。
組み込み方向や押さえる位置を明確にするガイドを取り入れれば、人為的なミスを減らせて、作業者に依存せず誰でも正確に挿入できるようにもなります。
均等な荷重がかかる設計にする
オイルシールを正しく挿入するためには、治具の設計において均等な荷重がかかることが大切です。傾斜や不均一な圧力がかかると、シールや部品に損傷が生じ、気密性や耐久性に悪影響を与えるためです。オイルシール挿入治具を設計する際は、水平に設置でき、シールを傷つけずに均一に加圧できる構造を取り入れましょう。
弾力性のあるオイルシールを挿入する場合は、一定の荷重と速度で繰り返し押し込んでいけるような構造にすることもおすすめです。
治具の着脱性とメンテナンス性を考慮する
オイルシール挿入用治具は、作業効率と装着の品質を維持するために、着脱性やメンテナンス性も重視して設計する必要があります。
組み込み時の装着や取り外しが簡単な構造にして、作業のムラを防いで誰でも簡単に同じ作業が行えるようにしましょう。着脱性がよくなれば作業者の負担を軽減でき、作業時間の短縮も可能です。
また、オイルシール挿入時は作業環境や部品を清潔に保ち、異物が付着していない状態で使用することが大切です。作業前には、ゴミや埃を除去し、必要に応じてグリスを直前に塗布することが推奨されています。治具自体も簡単に清掃・点検できる構造であれば、長期間安定して使用できるでしょう。
オイルシール挿入治具の特注製作を依頼する際の注意点
特注のオイルシール挿入治具の製作を依頼する際は、事前の情報の整理と綿密な共有が大切です。仕様の確認漏れや業者との認識のズレは、致命的な結果を招く可能性があります。
まずは、使用するオイルシールの寸法や挿入条件、材質といった基本仕様を正確にまとめましょう。さらに、使用する機械設備や作業環境についても正しく伝えられるよう準備しておくことで、より現場に適した治具の設計が可能になります。
ここでは、特注品の製作依頼をする際に大切なポイントを二点、解説します。
寸法・材質・挿入条件などを正確に伝える
オイルシール挿入治具の特注製作を依頼する際は、仕様の情報を正確かつ詳細に伝えることが大切です。たとえば、オイルシールの外径・内径・厚みなどの寸法や、使用される材質、挿入時の荷重条件といった情報が不十分だと、治具を導入しても思うように作業できなくなる恐れがあります。
必要な圧力や固定力、使用頻度、求められる耐久性なども、材料選定の判断基準になるため、しっかり伝えておきましょう。
治具の製作実績が多い業者を選べば、これらの情報のなかから最適な材料、構造、設計を提案してもらいやすくなります。とくに治具の特注製作の依頼が初めての場合は、設計段階からサポートしてくれる業者を選ぶと安心です。
安久工機は、モノづくりの街大田区で50年以上、設計製作と向き合い続けてきた実績があります。特注治具の設計、製作にも力を入れており、高精度が求められる分野で多数の治具を製作してきました。治具に関するお悩み、ご相談は、ぜひ安久工機にお聞かせください。
使用する機械や作業環境を共有する
オイルシール挿入治具を製作する際は、実際に使用する機械設備や作業環境の情報も事前に共有しておきましょう。使用条件が不明確なままだと、せっかく製作した治具が使いにくかったり、作業性が著しく低下したりする可能性があります。
たとえば、治具を取り付けたい箇所の寸法、作業スペースの制約、作業者の動線などを伝えることで、より現場にフィットした設計が可能になります。また、油や粉塵が多い環境であれば、メンテナンス性や耐久性を高める設計にすることも大切です。
業者とすり合わせながら、実際の現場でより使いやすい治具を検討していきましょう。

オイルシール挿入治具の特注製作は安久工機にご相談ください
オイルシールは、自動車や電化製品などさまざまな身近なアイテムに使用されていますが、挿入時のわずかなズレや力の差がオイル漏れや異物混入につながる重要なパーツです。
高精度な挿入のためには、治具の使用が推奨されます。作業内容や形状によっては、特注の治具が必要になることも少なくありません。
安久工機では、オイルシール挿入時に役立つ治具の設計、製作を承っています。50年以上にわたる経験で培ってきた開発力、設計力をもとに、お客様の「こんな治具が欲しい」というご要望にお応えさせていただきます。
なお、検査治具については別のコラムで解説しております。そちらもあわせてご覧ください。
▶検査治具メーカーの選び方や注文の流れについてはこちら
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