バックシールド治具とは?目的やメリットを金属加工会社が解説

バックシールド 治具 溶接の様子 2

バックシールド治具とは?溶接時の使用方法を解説

バックシールド治具とは、溶接部の裏面にシールドガスを供給し、酸化を防ぐための専用ツールです。とくにアルミニウムやチタンなど、酸化しやすい金属の溶接では、バックシールドがよく用いられます。
バックシールド治具にはさまざまな種類がありますが、基本的な使用方法の一例を紹介します。

  1. 溶接部の裏面に密着させ、ガスが均一に流れるよう固定する
  2. 適切な流量でガスを供給しながら溶接する
  3. 溶接後も一定時間ガスを供給し、冷却時の酸化を防いでから治具を取り外す

このようにすることで、酸化皮膜の形成を防ぎ、高品質な溶接を実現できます。

バックシールドとは?目的や注意点

バックシールドとは、溶接時に溶接部の裏面をシールドガスで保護する技術や、それに用いる治具を指します。バックシールドにより、酸素の混入による溶接部の強度低下やビードの品質低下を防ぎ、さらに熱影響を抑えてひずみの発生を軽減できます。

ただし、バックシールド治具を適切に機能させるには、ガスの流量や供給経路の調整が重要です。
供給が不均一だと酸化が発生し、溶接品質の低下につながる可能性があります。また、使用するシールドガスの種類や作業環境によって最適な設定が異なるため、事前にテストを行うことが推奨されます。

バックシールドの目的

バックシールドの主な目的は、溶接時に溶接部の裏面をシールドガスで保護し、酸化を防ぐことです。とくに酸化しやすい金属を溶接する際には、酸素の影響を抑えるために欠かせない技術です。
酸素が侵入すると、溶接部の強度が低下し、外観にも悪影響を及ぼします。バックシールド治具を使用することで、溶接ビードの品質向上と強度の確保が可能です。また、バックシールド治具には熱影響を最小限に抑え、ひずみを軽減する役割もあります。

とくに航空機部品や半導体装置など、高精度な溶接が求められる分野では、均一なビード形成が必要なため、バックシールドの使用が推奨されます。

バックシールドの注意点

バックシールド治具を適切に使用するためには、いくつかの重要なポイントに注意が必要です。

まず、シールドガスの流量管理が重要で、ガスの流量が不足すると酸素が混入し酸化が進行する一方で、流量が多すぎると乱流が発生し、シールド効果が低下する可能性があります。そのため、適正な流量を維持して、安定した品質を確保することが求められます。

次に、治具の設置にも注意が必要です。溶接部に密着していないとガスが漏れ、十分な保護ができません。設置時には、ガスが均等に行き渡るように調整し、確実に密着させることが大切です。

また、作業環境の酸素濃度管理も欠かせません。周囲の酸素濃度が高いと溶接部の酸化が進み、強度低下や外観不良の原因となるため、適切なガス管理を徹底することが求められます。

バックシールド治具を溶接時に用いるメリット

バックシールド治具を使用することで、溶接品質の向上や作業効率の改善が期待できます。まず、大きなメリットは酸化の抑制です。シールドガスを裏面にも供給することで酸素の侵入を防ぎ、溶接部の酸化を最小限に抑えられます。

バックシールド治具の使用により、製品の外観品質も向上します。酸化による変色やピンホールの発生を抑え、均一なビードを形成できるため、高品質な仕上がりが求められる製品にも必要です。

さらに、適切な治具を使用すればシールドガスの流れを安定させ、均一に溶接することが可能です。これにより、手直しや再溶接の回数が減少し、作業効率が向上します。

このように、バックシールド治具を適切に使用することで、溶接品質の向上と作業の効率化を両立できるため、導入を検討する価値があります。それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

バックシールド 治具 溶接ビート

酸化が原因のピンホールの発生を防げる

溶接時に発生するピンホールは、酸化などのさまざまな要因によって引き起こされます。溶接部が酸素と反応すると微細な空洞が形成され、これがピンホールの原因となることがあります。ピンホールが発生すると、溶接部の強度低下や外観不良につながるため、適切な対策が必要です。

バックシールド治具を使用することで、裏面にもシールドガスが供給され、酸素の侵入を抑えられます。

ただし、適切なガス流量の管理も重要です。流量が不足すると保護効果が低下し、逆に過剰に供給すると乱流が発生し、安定した溶接が困難になります。適正な流量を維持することで、酸化のリスクを最小限に抑え、ピンホールの発生を防ぎやすくなります。

溶接ビードが均一になる外観が美しくなる

溶接ビードの均一性は、製品の仕上がりの美しさにも直結する重要な要素です。とくにアルミニウムやチタンなどの材料は酸化しやすく、溶接時に酸化が進むとビードが不均一になり、仕上がりの美しさが損なわれることがあります。このような問題を防ぐために、バックシールド治具の使用が有効です。

バックシールド治具を用いることで、裏面にもシールドガスを適切に供給し、酸化を抑制することが可能です。酸化が抑えられると溶融金属の流れが安定し、ビードの形状が均一になります。また、シールドガスが適切に作用することで表面の滑らかさが向上し、溶接後の仕上がりが美しくなります。

溶接の手直しが減り作業時間を短縮できる

適切なバックシールド治具を選定し、正しく活用することで、溶接の手直しが減少し、作業効率の向上につながります。

通常、溶接工程では酸化やピンホールが発生すると修正作業が必要になり、余分な時間とコストがかかります。しかし、バックシールド治具を活用することで、これらの不具合を未然に防ぐことが可能です。修正作業の負担が軽減され、作業員の効率が向上し、全体の生産性が高まります。

さらに、手直しが減ることで工場全体のコスト削減にもつながります。安定した品質と効率的な作業工程を実現するために、バックシールド治具の導入を検討することがおすすめです。

バックシールド 治具 溶接の様子

バックシールド治具の特注製造なら安久工機にご相談ください

今回は、バックシールド治具について、使用の目的や使用時の注意点などを解説しました。溶接する金属の素材や形状などによっては、バックシールド治具の特注製作が必要です。

安久工機では、溶接時に重要なバックシールド治具の製作を承っています。設計段階から実績が豊富にあるモノづくりのプロが対応し、より最適な治具製作をサポートいたします。
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特殊な形状や環境などで使用するバックシールド治具の製作依頼先にお悩みの事業者様は、ぜひ安久工機にご相談ください。

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