基板分割治具の種類と特徴を詳しく解説!設計時の注意点も紹介

基板 分割治具 プリント基板の画像

基板分割治具の代表的な種類とメリット

基板分割治具は、プリント基板を分割する際に基板の位置を決めたり固定したりして、たわみや反り、位置ズレなどを防止するためのツールです。さまざまな種類がありますが、ここでは代表的な以下三つの方式で使われるものについて解説します。

  • Vカット方式
  • ルーター分割方式
  • プレス分割方式

Vカット方式は、一つひとつの基板の境目に対し、真ん中に薄い基材を残しつつ、上下にV字の切り込みを入れるタイプです。一方、ルーター分割方式は、高速回転する先端工具で境目を削って分けます。プレス分割方式は、基板の境目の位置の上下に専用の刃を設け、上下から圧力を加えて分ける方法です。

それぞれの方式について、詳しく解説します。

Vカット方式の基板分割治具

Vカット方式は、あらかじめ基板にV字の溝を入れておき、その溝に沿って割ることで一つひとつを分けられるようにする手法です。分割治具は基板を所定の位置に正確に固定し、V字溝に沿って安定して割るのに役立ちます。

比較的簡単な設計で低コストな治具を導入しやすいため、少生産や試作品の製作現場にもおすすめです。

ただし、位置決めや固定が甘いと分割時にV字溝付近にクラックや割れが発生する可能性がある点には注意が必要です。治具を製作する際は、V溝の位置やカットの際にかかる力なども考慮したうえで設計を進めましょう。

ルーター分割方式の基板分割治具

ルーター分割方式は、回転するカッターで基板を切削して分ける方法です。ゆっくり切削すれば基板にかかる力を最小限に抑えられ、割れや変形を防止できる点が特徴です。

ルーター分割方式では、基板をしっかり固定することでたわみを防止できたり、位置決めの精度を高めたりできるツールが役立ちます。

ルーター方式で分ける際は粉塵が発生しやすいため、粉塵が基板へ付着したままにならないよう注意が必要です。治具のなかには、粉塵が基板に付着することを防げるものもあります。

プレス分割方式の基板分割治具

プレス分割方式は、治具の上下に取り付けた刃で基板を打ち抜く方法です。治具に基板を設置し、分割したい場所の上下に刃を位置調整したあと、上下から力を加えて個々の基板に分けます。

プレス分割方式は単純な原理であるため、作業者によるバラツキが少なく、一度の操作でまとめて分割しやすい点が特徴です。治具で位置決めや固定も正確におこなえるようになれば、人為的なミスもより少なくなり、不良品の発生率を下げられるでしょう。

一方、プレス方式は強い力が加わるため、その際にツールが変形する可能性や、交換の頻度が高まる可能性を考慮しなければなりません。

基板 分割治具 プリント基板の画像

基板分割治具を設計する際のポイント

基板分割治具を設計する際に押さえておくべき主なポイントは、以下のとおりです。

  • 対象基板に適した分割方法を選ぶ
  • 治具の脱着が簡単にできる設計にする

自社の製造現場に適したツールを設計しなければ、生産性や品質の向上は望めません。分割の精度だけでなく、担当者が作業しやすい設計にすることも大切です。
両者をバランスよく取り入れ、製造コストを抑えつつ、生産性を最大化できる治具を設計しましょう。

それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

対象基板に適した分割方法を選ぶ

対象基板に適した方式を選ぶことは、分割治具を設計するうえで大切です。Vカット方式・ルーター方式・プレス方式などのそれぞれで、得意なシーンが異なるためです。

薄くて脆い基板の場合はルーター方式もおすすめですが、大量生産が求められる場合はVカットやプレス方式のほうが適している可能性があります。

製品の仕様や生産規模などを考慮し、どの方式が最適かを事前に見極めていきましょう。どの方式が最適かわからない場合は、治具製作の実績が豊富な業者に相談してみることもおすすめです。

安久工機は、治具製作の実績が豊富にあり、設計段階からのサポートが可能です。これまでに培ってきた知識と経験をもとに、最適なツールの設計を提案させていただきます。

治具の脱着が簡単にできる設計にする

分割治具は製造ラインで頻繁に交換や調整がおこなわれることが多いため、作業効率を高めるには脱着のしやすさを考慮した設計も大切です。ワンタッチで固定できる設計や、位置決めピンなどを取り入れることで、作業者によるセッティングの時間を大幅に短縮することが可能です。

脱着のしやすさは、作業者の負担を減らすだけでなく、治具や基板の損傷、不良品の発生リスクも低下させます。多品種生産の場合は治具の交換回数が増えるため、実際の現場での扱いやすさも考慮して設計していきましょう。

基板分割治具の製作を外注する際の注意点

基板分割治具の製作を外注する際は、単にコストや納期だけを重視するのではなく、業者の技術力や品質管理体制をしっかりと見極めることが大切です。依頼する前に、過去の製作実績や対応可能な治具の種類、加工精度などを確認しておきましょう。

特注の治具の製作を依頼する際は、知識や経験が豊富でアドバイスをしてくれる業者に相談することもおすすめです。より安全に作業できる設計や作業を効率化できる設計などを提案してもらえれば、今後の生産性の向上にもつながります。

自社の製造条件や製品の仕様を正確に伝えることも、外注時に失敗しないための重要なポイントです。実際の現場での作業内容などの認識を双方ですり合わせておくことで、納品後の不具合も防ぎやすくなるでしょう。

基板 分割治具 作業の様子

安久工機は基板分割治具などの治具製作の実績が多数ございます

基板分割治具は、基板を正確なサイズにカットする際に役立つツールです。分割時のサイズが異なったり欠けていたりすると、使用される電子機器の信頼性が損なわれたり、不良品となってしまったりするため、分割作業に使われる治具は正確に設計、製作しましょう。

安久工機には、治具の製作実績が多数あります。製品の開発、設計から実際の製作、組立までトータルして対応し、お客様のご希望のクオリティで納品させていただきます。

また、設計図が書けない、どのタイプが適しているかわからないなどのご相談にも経験豊富なスタッフがお応えしますので、まずは以下よりお気軽にお問い合わせください。

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