つかみ治具の種類とそれぞれの使用方法
つかみ治具は、材料試験における試験片の固定や、製造現場での加工ワークの固定など、対象物を確実に掴んで安定させるための治具です。適切な種類を選ぶことで、試験結果の精度向上や作業効率の改善、品質の安定化を実現できます。
代表的なつかみ治具として、以下のような種類があります。
- 引張試験用の専用つかみ治具
- 平面型つかみ治具
- クサビ式つかみ治具
以下では、代表的なつかみ治具の種類や特徴について詳しく解説します。自社の用途ではどのような種類が適しているか、ぜひ参考にしてみてください。
引張試験用の専用つかみ治具
つかみ治具の種類のひとつに、引張試験で使用されるものがあります。引張試験用つかみ治具は、試験片を均等な力で把持して試験中の滑りや位置ズレを防ぎ、信頼性の高いデータの取得に役立ちます。
構造は、ワークの材料や形状によって異なります。例えば、平行な面で挟み込むタイプは板状の材料に適しており、滑りやすい素材の場合はクサビ型の構造などが有効です。ワークの形状や特性に応じて、適切な構造を選ぶことが大切です。
使用する際には、つかみ治具の引張軸と荷重方向が一致するように設置しましょう。偏心が生じると曲げ応力が加わり、正しい引張強度を得られなくなる恐れがあります。また、試験中に滑らないよう、適切な把持力に調整することも重要です。
平面型つかみ治具
平面型つかみ治具は、平らな把持面を持つシンプルな構造の治具です。板材やシート材などの平面状のワークに幅広く対応できる汎用性の高さが特徴です。把持面にはローレット加工や溝加工などが施されることが多く、ワークが滑らないように工夫されています。
使用する際は、ワークを治具の把持面に適切に配置し、締付け機構で固定します。安定した保持のためには、接触面に異物がないことや、ワークの姿勢が歪まないように調整することなどが大切です。固定の手順や方法は治具の構造やワークの形状によって異なりますが、全体に均等な力がかかるよう意識することで、滑りや変形を防ぎやすくなります。
クサビ式つかみ治具
クサビ式つかみ治具は、楔(くさび)の原理を利用した自己締付け機構を持つタイプです。ワークを引っ張る力が増すと把持力も増える仕組みで、比較的安定した固定が期待できます。また、初期の締付け力が小さくても把持できるものもあり、操作が比較的簡単である点も特徴です。
使用時には、クサビの角度(テーパー角度)が把持力に影響するため、ワークの形状や材質に応じて適切な角度を選ぶことが大切です。製作依頼時には、テーパー角度の設定や調整の経験やノウハウのある業者を選ぶと、より安心して依頼できるでしょう。
安久工機は、さまざまなタイプの治具製作の実績がある加工会社です。特殊な形状のワークを固定するつかみ治具が欲しいという事業者様は、安久工機にお問い合わせください。

つかみ治具の選定ポイントと注意点
つかみ治具を選ぶ際は、以下のポイントに着目することが重要です。
- ワークの材質や形状に適したタイプを選ぶ
- つかみ治具の使用環境と作業効率の両立を考える
不適切な種類を選定してしまうと、かえって測定精度が低下したり、作業効率が悪化したりする恐れがあります。治具製作の失敗を防ぐためにも、以下で紹介するポイントをしっかりと把握しておきましょう。
つかみ治具の選び方に迷っている方や特注製作の依頼を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
ワークの材質や形状に合ったつかみ治具を選ぶ
ワークの材質や形状は、つかみ治具選定の重要な判断基準の一つです。ワークの特性に応じた適切な治具を選ぶことで、確実な固定や作業品質の向上を期待できます。
ワークが金属材料の場合は、把持圧力が高くても変形しにくいため、機械式の強固な治具がおすすめです。一方、樹脂やゴム材料には、過度な締付け圧力による変形や損傷を避けるために、圧力調整機能を付けたり、把持面の材質をソフトにしたりするなどの工夫が必要です。
板型や角形のワークに対しては、平面型のつかみ治具が適しています。円柱状試験片の場合は、把持部をV溝やチャックにすることでしっかりと固定することが可能です。
複雑な形状のワークを十分な力で固定するには、一般的な治具では対応できないケースもあり、その場合は特注治具の設計・製作が必要です。
使用環境と作業効率の両立を考える
つかみ治具の選定では、使用環境の条件と作業効率の要求を同時に満たせるかもよく見極めましょう。
例えば、温度環境によっても最適な材質はさまざまです。高温環境では耐熱性の高い金属が必要であるのに対し、低温用途では低温脆性の少ない材料を選ぶ必要があります。
薬品や水にさらされて腐食しやすい環境では、ステンレス鋼やチタンのような耐食性の高い金属が求められるでしょう。
作業効率の向上のためには、以下のような点を工夫してつかみ治具を設計・製作することが大切です。
- ワークの交換時間の短縮
- ワークの位置決め時間の削減
- ロボットなどとの連携を考慮した設計
- 清掃や調整などのメンテナンスのしやすさ
例えば、ワンタッチ式のレバーでワークの脱着ができたり、ワークの設置位置を案内するガイドブロックを設けたりすることで、作業効率が向上するケースもあります。
つかみ治具の製作を外部に依頼する際のポイント
つかみ治具の製作を外部に依頼する際は、以下のようなポイントを押さえておきましょう。
- 技術的な要求事項を満たせるか
- 製作実績が豊富な業者か
- 提案力のある業者か
外部へ治具製作を依頼するには、詳細な仕様書の作成が重要です。対象とするワークの形状・寸法・材質や使用環境、要求精度などを提示し、業者に対応可能かどうか依頼前に確認しましょう。
技術的には問題ない場合でも、信頼できる業者か確かめておくことも大切です。ホームページなどで類似用途での製作経験や過去の納期実績などを調べてみましょう。実績豊富な業者であれば、不具合に迅速に対応ができたり、アフターサポートが充実していたりすることが多いです。
図面通りの製作にとどまらず、設計改善の提案や代替案の提示などを行なってくれる業者を選ぶこともおすすめです。提案力のある業者に依頼すれば、設計の改善によってコストカットなどを実現できる場合もあります。事前の打ち合わせを通じて、業者の提案力を見極めましょう。

安久工機にはつかみ治具など治具の製作実績が多数あります
つかみ治具は、試験や加工などにおいてワークを正確に固定し、作業品質や安全性などを高めたりするために必要なツールです。
対象となるワークの素材や形状によっては、市販品ではなく特注品が必要になるケースもあります。
安久工機では、つかみ治具の特注製作が可能です。金属加工に携わり続けて50年以上の実績がある弊社が、設計図作りから徹底的にサポートさせていただきます。
図面が書けない、作業効率を高めるオーダーメイドの治具が欲しいなどのお悩みは、お気軽に以下フォームよりご相談ください。
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