『ディア・ファミリー』の人工心臓の監修・機材提供をさせていただきました。
舞台は1970年代、心臓疾患を抱える娘のために、医学知識が無い町工場の男性が人工心臓の製作に挑戦する、といったテーマの映画『ディア・ファミリー』において、安久工機が人工心臓に関する監修・機材提供をさせていただきました。
今回はどのような経緯で映画『ディア・ファミリー』の監修・機材提供といった技術協力をさせていただくことになったのか、映画制作においてどのようなことをしたのか、なぜ安久工機が監修や機材提供とった技術協力することができたのかをご紹介していきたいと思います。
映画『ディア・ファミリー』とは
映画『ディア・ファミリー』とは、月川翔さんが監督、大泉洋さん、菅野美穂さん、福本莉子さん、川栄李奈さん、新井美羽さんらが出演する、2024年6月14日公開のノンフィクション映画です。
先天的な心臓疾患を抱えた娘が余命10年を医者に宣告されてしまい、絶望の中、町工場を経営する父が娘のために医学知識が全く無いながらも人工心臓の製作に挑戦する、というお話です。
■あらすじ
生まれつき心臓疾患を持っていた幼い娘・佳美は [余命10年]を突き付けられてしまう。
「20歳になるまで生きられないだと…」
日本中どこの医療機関へ行っても変わることのない現実。
そんな絶望の最中、小さな町工場を経営する父・宣政は「じゃあ俺が作ってやる」と立ち上がる。
医療の知識も経験も何もない宣政の破天荒で切実な思いつき。
娘の心臓に残された時間はたった10年。
何もしなければ、死を待つだけの10年。
坪井家は佳美の未来を変えるために立ち上がる。
絶対にあきらめない家族の途方もなく大きな挑戦が始まる―。
人工心臓の監修・機材提供を行った経緯
私たち安久工機は大田区で、多様な業界のお客様からのアイディアをカタチにしたり、試作品や開発などのご相談にお応えするモノづくりを行っています。中でも創業した1969年から現在まで50年以上、人工心臓開発プロジェクトに携わってきています。
2021年に、人工心臓に興味を持った小学生の親御さんから工場見学をしたいとの連絡をいただき、その際のやり取りをX(旧Twitter)に載せたところ、話題になったこともありました。
この時出会った少年は中学生になった今でも人工心臓の開発に邁進しており、安久工機はスポンサーとして彼の研究を支えています。
2022年9月のある日、映画『ディア・ファミリー』の助監督の方からご連絡をいただくご縁がありました。具体的には人工心臓をテーマにした映画を制作するにあたり、当時の人工心臓の開発状況や製作方法について教えてほしい、とのご連絡でした。
人工心臓の研究開発に半世紀以上携わり、そこで培ってきた経験と知識でご協力できると思い、当時の人工心臓の研究開発に関する監修や機材提供といった、技術的な支援をさせていただくことになりました。
映画『ディア・ファミリー』にどのように携わったのか
人工心臓に関する監修・機材提供とは具体的にどのようなことを行ったのかをご紹介いたします。
先程ご紹介したように、はじめは助監督の方から1970〜90年代当時の人工心臓の研究開発現場の様子や当時の製作について資料が少ないので教えてほしい、という旨のお問い合わせがありました。
そこで長年人工心臓の研究開発に携わっている当事者である私たちは、当時の研究開発の様子を写した写真や情報をご提供することで、当時の研究開発の現場の再現の協力をしました。
また現代とは異なる当時の人工心臓を作る方法を検討していらしたので、私たちならばその当時の人工心臓を再現することができることをお伝えし、当時の人工心臓製作に関しても安久工機がご協力させていただきました。
さらに、当時の実験装置を入手したが上手く機能しないとのことだったので、同様の実験ができる血液循環シミュレータを持つ安久工機が、ここでもご協力させていただきました。
また、全くの偶然ですが、実は10年前の2014年、主演の大泉洋さんが北海道のテレビ番組の企画で安久工機を訪れたことがあり、その際にこの実験装置を見ていただいたことがありました。大泉洋さんはこのことを覚えていてくださっており、これも何かの縁だなと深く感じています。
なぜ安久工機は協力できたのか
なぜ私たち安久工機が人工心臓の監修や機材提供といった技術的な支援ができたのかを、安久工機の歴史と共に解説いたします。
田中文夫が安久工機を創業した1969年当時、日本の大学や研究機関では人工心臓の研究が盛んに行われていました。しかし、優秀なメンバーは多いものの、モノづくりの現場のノウハウが無く図面の読み書きや製造方法の具体的な検討がうまくできないという課題がありました。
そこで研究チームの教授と伝手のあった安久工機に白羽の矢が立ち、安久工機が人工心臓の研究開発の最先端の世界に飛び込むことになりました。研究室の方たちの試作の相談に乗ったり、図面の読み書き、材料の選び方といった、モノづくりの現場の知識を提供してきました。
また1980年代初頭、田中文夫の息子である田中隆(現安久工機社長)もまた、国立循環器病センターで人工心臓研究補助員として従事し、最先端の場で人工心臓の研究開発を行っていました。
この50年以上に渡る人工心臓の研究開発の最先端での経験と歴史があったからこそ、当時の人工心臓の研究の知見や写真もあり、今回映画『ディア・ファミリー』において、監修や機材提供といった技術的な支援が可能だったのです。
最後に
ここまで映画『ディア・ファミリー』の根幹である人工心臓の監修・機材提供といった技術的な支援をさせていただいた背景をご紹介してきました。
映画の制作現場の皆様の仕事のレベルの高さや細かさには、同じモノづくりに携わるものとして、圧倒され感銘を受けました。また私たちが先代から引き継ぎ培ってきた人工心臓に関する経験・知識が、このような素晴らしい作品制作に貢献できたことを、心から嬉しく感じています。
映画には安久工機が製作に協力をした人工心臓や血液循環シミュレーターが登場しますので、映画を観る際に「あ、これのことか!」と思っていただけるよう、心のどこかに留めていただければと思います。
安久工機では人工心臓の医工学研究連携で培った「ゼロ→イチ」の開発設計力を活かし、アイディアをカタチにしたり、試作品や開発などのご相談にお応えするモノづくりを行っています。
- アイデアを具現化する仕組みを考える「構想設計・基本設計」
- 仕様を可視化し加工者の言語へ翻訳する「詳細設計・製図」
- 適切な発注先を判断し製造工程をマネジメントする「加工・調達」
- 全ての部品を正しく組み上げアジャストする「組立調整」
私たちは上記の全てをワンストップで一貫対応することができます。研究・開発において、豊富な知識や技術を有する企業をお探しの方は、安久工機へお問い合わせください。
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電話番号:03-3758-3727
FAX:03-3756-1250
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