台湾スタートアップ事情から学ぶ──吉村氏による特別セミナー開催
2025年6月19日、ベンチャーフレンドリー塾にて、ASIA-NET代表・吉村章氏を講師に迎えた特別セミナーが開催されました。今回はその様子をお届けいたします。
ベンチャーフレンドリー塾は、弊社CEOの田中宙が発起人として立ち上げたベンチャーフレンドリープロジェクトが企画運営に参画している、大田区産業振興協会主催の会員勉強会です。ベンチャーフレンドリーな企業・仲間と共に、ベンチャー企業とベンチャーフレンドリー企業双方のポテンシャルを融合し、共に新市場を切り拓く具体的な方策を議論しています。
今回のセミナーでは、吉村氏が台湾のスタートアップ事情やIT産業の変化についてお話してくださいました。“実用先端”や“グローバル前提”といったキーワードの裏にある台湾のITビジネス哲学からは、私たち日本の現場にとっても多くの日本企業にとってのヒントが詰まった時間となりました。
台湾のスタートアップ事情と戦略
今回のセミナーで吉村さんが届けてくださったのは、「CONPUTEX&InnoVEX2025の報告と台湾のスタートアップ事情」です。
台湾のIT産業は今、AIを中心としたダイナミックな変化のまっただ中にありますが、日本の企業とは大きく異なる動きをしていることを説明してくださいました。
中でも印象的だったのは「実用先端」というワードです。「実用先端」とは、最先端の技術や未来的なコンセプトを追うのではなく、半年後や1年後に市場で求められる社会実装可能な製品を開発する、という考え方です。COMPUTEX & InnoVEXでも、最先端ではなくこの「実用先端」を重視した展示が多数見られたとお話されました。
また台湾のスタートアップは最初からグローバル市場を見据えており、またIPOを必ずしも目指さないという特徴があるというお話も印象的でした。
大手ベンダー(Acer、Asusなど)と早期に連携し、彼らが持つグローバルな販売ネットワークを活用して市場に食い込むことを目指すこの柔軟さと割り切りは、日本のスタートアップや中小企業にとっても、大いに学びのある姿勢だと感じました。
その他にも大手ベンダーが「多角的全方位戦略」で交通、流通、医療などあらゆる分野でグローバル市場で需要がある製品を出展していることや、FoxconnやPegatronなど元々はEMS企業として表に出てこない「黒子」であった企業がCOMPUTEX & InnoVEXでは出展するようになってきているといった、最新の台湾IT市場の動向もお話いただきました。
セミナー後には、台湾スタートアップ企業が実践する「80点主義」や、台湾独特の資金調達方法など、日本とは異なるビジネス文化にさまざまな質問が寄せられました。参加者の皆さまが自社の現場と重ねながら問いを投げかけており、台湾のリアルな現状が実務レベルでの気づきや議論に繋がっていく場面が見られたのが印象的でした。
台湾からの学びを、自分たちの現場にどう活かすか
台湾と日本、同じアジア圏にいながらも、そのスタートアップ文化や企業連携の方法論は大きく異なります。だからこそ私たちはそこから多くを学び、取り入れ、自分たちの文脈に応じた“次の一手”を描いていく必要があるのかもしれません。
台湾型の「実用先端」や「IPOを必ずしも目指さない」という考え方は、今後の日本の町工場やスタートアップの成長にとって非常に参考になるもので、改めて「やり方は一つじゃない」という視座を得ることができました。
今後もベンチャーフレンドリー塾では、実践的な知見を学びあい、共に新市場を切り拓く具体的な方策を議論を行う場として活動を続けていきたいと思います。
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