押し当て治具にはどのような種類がある？
押し当て治具は、製造や加工の現場で重要な役割を果たすツールで、主にクランプ式と専用形状に分類できます。
クランプ式は、汎用性が高く、さまざまな形状のワークへ対応可能です。ワークを壁や作業台に押し当てて固定する役割を果たし、取り付けや取り外しが簡単なものが多いです。
一方、専用形状は、特定のワークや加工内容に特化したツールです。クランプ式では対応できない特殊な形状のワークにぴったり合わせて製作されるため、より精度の高い加工を実現できます。
以下では、それぞれの種類について詳しく解説します。押し当て治具の製作依頼を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
クランプ式治具
クランプ式とは、ワークを固定するアイテムであり、代表的な押し当て治具の一つです。
先端に取り付けられたピンやプランジャーなどの部品をワークに押し当てることで、固定できるものもあります。ピンやプランジャーなどの部品は、バネで支えられています。このようなツールの場合、ワークを押し当てると、バネが圧縮され、その反発力によってワークに圧力がかかり、しっかりと固定される仕組みです。
これにより、さまざまな形状のワークも簡単かつ強固に固定できます。
専用形状の治具
専用形状は、特定のワークの形状に合わせてカスタマイズされた押し当て治具のことです。
曲面形状のようなワークの場合、通常のクランプ式では固定が困難なため、ワークの形状に合わせた特注のツールを製作する必要があります。専用形状の押し当て治具は、ワークに適した形状で設計、製作されており、しっかりと固定できることが特徴です。
ただし、多品種の製品を扱う場合は、ツールの製作を依頼する際に多品種に対応できる設計にできないか相談することも大切です。
押し当て治具を使った固定方法と位置決めのコツ
押し当て治具は、ワークに対してピンやプランジャーなどの可変式の部品を押し当て、圧力をかけて固定するための装置です。押し当て治具でワークがしっかりと固定されていれば、高精度な加工をしやすくなります。
ただし、ツールを使っても、ワークを正確な位置で固定できなければ意味がありません。ワークや加工方法に合わせて、正確に位置決めをすることが大切です。
たとえば、直方体や立方体のワークの二辺に面を押し当てることで、ワークの位置を決める方法があります。円形のワークの場合は、V溝で上下を挟む方法などが有効です。また、ワークに開けた穴をツールに嵌め込むことで固定する方法もあります。
ワークの形状に合わせて適切な方法で位置決めし、作業効率を上げましょう。
押し当て治具の選び方
押し当て治具を選定する際は、以下のポイントに気を付けてください。
- 用途や使用する素材などに合わせて選ぶ
- コストとメンテナンス性から選ぶ
- 必要であれば特注品を製作する
用途に適した押し当て治具を製作しなければ、ワークをしっかりと固定できない恐れがあります。作業効率が上がらず、コストがかかるだけになるため注意しましょう。
メンテナンスをしやすい構造にすることや、ワークによっては特注製作を依頼する必要もあります。
以下では、押し当て治具の選び方のポイントを詳しく解説します。押し当て治具の製作を検討されている方は、依頼前にご参考にしてみてください。
用途や使用する素材などに合わせて選ぶ
押し当て治具は、加工や検査などのさまざまな場面で使用されており、用途や使用する素材などに合わせて選ぶことが重要です。加工時や検査時には、ワークが動かないよう、また変形しないようにツールで押さえることが大切です。
切削加工中にワークが動くと、正確な加工ができなくなってしまいます。ワークの外周にクランプできる箇所がある場合は、外径クランプで強固に締め付けることが可能です。
反対にクランプできる箇所がない場合は、ワークの内側から固定できる内径クランプ治具を用いることもあります。
変形を防ぐためには、ワークを掴む力が一点に集中せず、分散できる設計にすることも大切です。
機械加工ではなく、化学的な表面処理などをする際にツールが必要な場合は、腐食性や耐熱性などもふまえて材料を選定する必要があります。
コストとメンテナンス性から選ぶ
コストやメンテナンス性を考慮することも、押し当て治具を選ぶ際の重要なポイントです。
市販の押し当て治具は特注品と比べると安価なものが多く、初期投資を低く抑えられます。適切な方法で使用すれば、ランニングコストもかかりにくく、メンテナンス頻度も少ないでしょう。
ただし、ワークに合わない押し当て治具を選ぶとパーツが壊れたり、使用環境に合わない素材の押し当て治具を選ぶと錆などが生じたりする恐れがあります。
頻繁に交換やメンテナンスが必要な場合や、ワークに適した市販品が見つからない場合は、初期費用はかかっても特注治具を製作したほうがその後のランニングコストを抑えられる可能性もあります。
必要であれば特注治具を製作する
市販の押し当て治具では対応できない形状や用途で使用する場合は、特注の押し当て治具の製作を検討しましょう。特注の押し当て治具は、ワークの形状や加工内容に適合するよう設計されるため、より高精度な加工や効率的な作業が可能です。
ただし、特注品は市販品より製作コストがかかることが多い点に注意が必要です。対象のワークの生産量などを考慮して、製作を判断する必要があります。
また、ランニングコストも加味し、長期的な視点でメリットが多ければ製作依頼を検討しましょう。特注品は、メンテナンスしやすいような構造にも設計できるため、ランニングコストも抑えられる可能性があります。
押し当て治具の特注製作は安久工機にお任せください
押し当て治具は、加工や検査などの際に精度を高めたり、作業を効率化できたりするアイテムです。
さまざまな種類の押し当て治具がありますが、ワークによっては市販品では対応できないこともあります。そのような場合は、特注品の製作依頼を検討しましょう。
安久工機では、押し当て治具の特注製作のご依頼をお受けしています。50年以上、10,000件以上の製作実績から、お客様の「こんな押し当て治具があればいいのに」という思いに全力でお応えします。
治具は、加工や検査などの精度を大きく左右する重要なアイテムです。失敗できない特注品の依頼は、ぜひ安久工機にご相談ください。
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