溶接仮付け治具の選び方!作業効率を高める設計のコツも解説

溶接 仮付け 治具 作業の様子

溶接仮付け治具の基本的な役割と選び方のポイント

溶接仮付け治具は、ワークを正確な位置に固定し、本溶接時のズレや歪みを防ぐために使用されます。仮付け溶接とは、本番の溶接前に部品同士を一時的に接合する工程で、このとき治具を使うことで作業の安定性と精度が大きく向上します。
溶接仮付け治具を選定する際は、以下のポイントをチェックしましょう。

  • 対象の材料や形状
  • 使いやすさと安全性
  • 耐久性とメンテナンス性

これらのポイントを押さえれば、より高品質な溶接作業が可能になるでしょう。それぞれのポイントを詳しく解説します。

対応する材料や形状をチェックする

溶接仮付け治具は、加工対象の材料の種類や形状にマッチするものを選ぶ必要があります。

たとえば、アルミニウムのような熱伝導率の高い材料を溶接する場合、治具側も熱を受けやすくなります。そのため、熱による変形が少なく、かつ適度な熱拡散性を持つ銅合金などの材料を選ぶことが大切です。

材料だけでなく、ワークの形状にも注意が必要です。溶接対象の形状に合わない仮付け治具で無理に固定すると、加工中にワークが外れたり、変形や傷の原因になったりする場合があります。とくに薄板や湾曲形状などでは、過剰なクランプ力や不適切な支持点配置によって熱歪みが生じやすくなるため、形状に適合した精密な治具設計が必要です。

使いやすさと安全性を確認する

使いやすさと安全性をチェックすることも、溶接仮付け治具を選定するうえで重要です。ワークを固定するための機構がシンプルなほど、少ない手順で作業でき、使いやすさが向上します。使いやすい治具にすることで、作業者による操作ミスや事故のリスクを減らせるでしょう。

ワークと治具がフィットしていない場合、作業者がワークを押さえながら溶接する必要があり、非常に危険です。複雑な形状のワークに対しては専用の仮付け治具を製作し、作業中のミスや事故を防げるようにすることが大切です。

耐久性やメンテナンス性を考慮する

溶接仮付け治具を選ぶ際は、耐久性やメンテナンス性も考慮しましょう。

耐久性が低くすぐに壊れる材料だと、何度も追加で製作する必要があり、コストが高くなります。耐久性に優れていれば、長期間にわたり安定して使用でき、品質の担保にもつながります。

メンテナンス性を高めるためには、消耗部品を簡単に交換できるような構造にすることが大切です。治具のメンテナンスが消耗部品の交換だけで済めば、全体の交換を回避でき、コスト削減につながります。

メンテナンス性が低いと微細な変形・歪みが蓄積し、正確な位置で固定しにくくなり、溶接不良が増加するリスクが高まります。

溶接仮付け治具の特注品を製作する際の設計のコツ

溶接仮付け治具の特注品を設計・製作する際に重要なポイントは、おもに以下の二点です。

  • 部品の位置決めを正確にできる
  • 熱や振動による変形を防げる

特注治具は、特定のワークにぴったりになるよう設計されているため、高い精度での位置決め、固定ができます。治具設計では、ワークとの接触面や当て面の形状・精度を詰め、固定時のガタつきやズレをなくすことが大切です。

溶接時の熱や振動により治具が変形すると、部品をしっかりと固定できなくなってしまいます。加工による影響を最小化できるような素材・設計にすることも大切です。

それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

安久工機では、溶接仮付け治具の特注品の製作をお受けしています。複雑な形状、固定が難しい製品でも高精度な作業ができる治具を、小ロットから製作することが可能です。
既製品の治具では対応しきれない作業にお悩みの事業者様は、ぜひ安久工機にご相談ください。

部品の位置決めが正確にできる設計

溶接仮付け治具の特注品では、部品の位置決めを高精度で再現できる設計にすることが大切です。溶接仮付け治具はワークを拘束するため、基準面や基準ピンを適切に配置し、幅・奥行き・高さの三方向すべてに対してガタつきのない状態を作る必要があります。

高精度な設計の溶接仮付け治具なら、複雑形状のワークでも基準面とピンに沿って配置することで安定した位置決めが可能となり、溶接不良のリスクを軽減できるでしょう。

ただし、ワークに大きな寸法公差がある場合は、基準部にフィットしにくくなり位置ズレの原因となります。必要に応じて微調整が可能な機能を設けることも検討しましょう。

熱や振動による変形を防ぐ強度設計

溶接仮付け治具は、溶接時の熱や振動による変形を防げるよう、強度と剛性を考慮した設計が求められます。仮付け溶接は局所的な加熱ですが、加熱部周辺では治具にも熱が加わるため、局所的な変形や歪みを避ける工夫が必要です。

治具材料には、比較的耐熱性の高いステンレス鋼や、寸法安定性に優れた構造用鋼材などが適しています。コスト・機能のバランスを見ながら、用途に応じた材料を選びましょう。

また、振動の影響を抑えるには、構造全体の剛性を高め、共振しにくい設計とすることも大切です。たとえば、ワークの支持部に厚みを持たせる、補強リブを追加するといった対策で、溶接中の変形を最小限に抑えられます。

溶接仮付け治具の製作を外部に依頼する際の注意点

溶接仮付け治具の製作を外部に依頼する際は、以下の点に注意が必要です。

  • 要求仕様の明確化
  • 製作実績

位置決め精度や使用環境での熱影響への耐性、作業性など、特注治具に求める機能や精度要件は、事前に明確にしておくことが大切です。

依頼元と外注先の間で仕様の認識にズレがあると、納品物が期待する品質に達しない恐れがあります。トラブルを防ぐには、製作前に図面や要件定義を基に打ち合わせをおこない、双方の認識のすり合わせが欠かせません。

また、治具製作の実績が豊富な業者を選ぶことで、ワーク形状や溶接方法に応じた高精度な設計・製作が可能となります。過去の事例に基づくノウハウを活かした提案をしてくれるか、製作する治具に応じた最適な設備・技術を保有しているかなどを確認しましょう。

溶接 仮付け 治具 作業の様子

溶接仮付け治具のオーダーメイドは安久工機へ!

本溶接前の仮付け作業に重宝されるのが、溶接仮付け治具です。溶接仮付け治具を選ぶ際は精度だけでなく強度や操作性なども考慮して選ぶ必要があります。
また、複雑な形状のワークを固定する場合などには、特注の溶接仮付け治具を製作会社にオーダーする必要もあるでしょう。

安久工機には、治具の製作事例が多数あります。50年以上、10,000件以上のご要望にお応えしてきた経験から、適切な提案と高精度な設計・製作をトータルでお受けいたします。

溶接仮付け治具の特注品の依頼先にお悩みの事業者様は、ぜひ一度、安久工機へお問い合わせください。

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