A2017の規格について
A2017の規格、物性や特徴など素材の基本的な情報について、試作設計・製造の安久工機が解説します。
A2017は「ジュラルミン」とも呼ばれており、JIS規格材のアルミ合金の一種です。
JIS規格においてアルミ合金は、アルミ合金を表す「A」と4桁の数字が組み合わされて表記されています。この数字は合金の系統によって分類されています。
A2017は「2000番台」として分類されるアルミ合金で、これは銅とマグネシウムを含むアルミ合金に割り当てられた番号です。A2017にはアルミニウムに加え、銅が約3.5~4.5%、マグネシウムが約0.40~0.80%含まれています。
2000番台のアルミ合金では、A2017(ジュラルミン)やA2024(超ジュラルミン)が代表的な種類として知られていますが、他にもA2011やA2014などがあり、用途に応じて選択されています。
更にこの4桁の数字に続いて、アルミ合金の形状や加工(製造条件)の記号が振られています。(P:板、H:箔、W:線、BE:押出棒、BD:引抜棒 等)
A2017の特徴
A2017(ジュラルミン)は先述したように、銅を含んだ2000番台のアルミ合金です。銅が添加されているため高い強度を有しています。(純アルミが約65HBであるのに対しA2017は約105HB程度(※質別:T4の場合))
A2017は金属の中でも軽量であるため、強度と軽さが重視される用途で選ばれています。切削加工が行いやすいこともあり、さまざまな用途で活用されています。
しかし、A2017には銅が添加されているため、耐食性が劣るという特徴もあります。このため環境によっては防食処理が必要です。
用途
A2017は、アルミならではの軽量性と高い強度を兼ね備えているため、軽さと頑丈さが求められるさまざまな用途で使用されています。
具体的な例として、以下の用途をご紹介します。
【A2017の主な用途(例)】
・航空機や船舶、自動車の部品
・スポーツ用品(バット、ゴルフクラブなど)
・機械部品・構造材
・アタッシュケースなど
・締結部材 など
このように、軽さと強度が求められる用途で、A2017は広く活用されています。
A2017と他の規格の違い(A2024、A7075)とは
A2017は、その他に「超ジュラルミン(A2024)」や「超々ジュラルミン(A7075)」といった種類(規格)があり、弊社でもそれぞれの素材の違いについてご質問を頂くケースがあります。
どの種類も名称に「ジュラルミン」が含まれていますが、それぞれ特性や用途が異なります。
A2017とA2024はどちらも2000番台に属するアルミ合金ですが、含まれる成分の量が異なるため、A2024の方がより高い強度を持っています。また、A7075は添加されている成分が異なるため、性質が異なります。
同じジュラルミンの名前がついていても、種類によって性質が異なるため、用途に適したものが選択されています。
こちらの記事でもこの3種のジュラルミンについてご紹介しています。ご関心がありましたら是非ご覧ください。
A2017の加工性について
A2017の加工性についてご紹介します。
●切削加工性
切削加工においては、比較的スムーズな加工が可能で、ネジやギアなどの精密部品から構造材まで、さまざまな形状の製品に対応しやすいといえるでしょう。しかし、融点が低いため、加工熱による刃物への溶着が懸念されます。このため、加工時には温度管理や切削速度の調整など、ノウハウが求められます。
●溶接性
熱伝導率が高いため溶接性は低いです。実施する場合はノウハウと実績が豊富な溶接メーカーに相談をすると安心です。
●防食処理について
耐食性が低いため、状況に応じて防食処理を施す必要がある場合があります。しかし、A2017は銅を含むためアルマイト性に劣ります。溶接と同様、難易度が高い処理となりますので、経験豊富なメーカーに依頼をすることをおすすめします。
弊社では、A2017への各種加工に対応しております。加工に関するお悩みやご相談がございましたら、どうぞご遠慮なくお問い合わせください。
A2017(アルミ合金)の加工のご依頼を承っております!ご依頼は安久工機まで
A2017の加工に関するご相談がございましたら、どうぞ安久工機までお気軽にお問い合わせください。
今回のコラムでは、アルミ合金の中でもポピュラーな種類「A2017」の規格、特徴についてご紹介しました。A2017は高強度で優れた性質を持つ素材ではありますが、加工においてはノウハウや求められる素材でもあります。
弊社では、これまで多くのA2017を扱ってきた経験があるため、特性を充分に理解した設計・製作を行っております。
安久工機は設計から製作、仕上げ(組立)に至るまでを全工程サポートし、高品質な製品作りをいたしております。各種加工に対応しておりますので、製品作りでお悩みの点がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
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